日産の行く末は【月刊ガソリンスタンド連載第25回】

車のミライ

 日産自動車は2月、昨年末からホンダと進めていた経営統合に向けた協議を打ち切りました。事実上「破談」となったわけですが、日産は2月に発表された2024年度第3四半期決算で、純利益は前年比約9割減。全従業員の約1割の人員を削減するなど、危機的状況は脱していません。わずか1ヶ月強で打ち切られた、ホンダとの経営統合協議。日産は今後、どのように経営を立て直していくのでしょうか。

出典:日産自動車ニュースルーム

「技術の日産」「やっちゃえNISSAN」とのギャップ

 かつて「技術の日産」と称され、日本の自動車業界を牽引してきた日産自動車。しかし、近年の同社の経営状況は、厳しい現実に直面しています。私は自動車業界に30年間携わっており、レンタカー事業を始める前は中古車販売もしていましたが、「スカイライン」「サニー」「フェアレディZ」などの名車は時代を経ても色あせず、人気が高い車両でした。日産は確実に、日本の産業を牽引する代表的な企業として君臨していました。

 しかし、その後はブランド力のある車種を十分に活かすことができず、迷走しているように思います。2015年からは、CMなどでも耳にする「やっちゃえNISSAN」を掲げていましたが、このキャッチコピーのような挑戦的な開発、経営にはいたっていません。たとえば、ホンダは「ステップワゴン」や「NーBOX」「フリード」など、ユーザーニーズを満たす車両を継続的に開発し、『売れるモデル』を確立しています。トヨタも「クラウン」のブランドを残しながらSUV化するなど、市場の変化に対応しているといえるでしょう。

 一方、日産は「フーガ」や「シーマ」などの歴史あるモデルを事実上消滅させ、「エルグランド」も「アルファード」や「ヴェルファイア」に大きく差を付けられているのが現状です。

出典:日産自動車ニュースルーム

日産の問題

 日産が発表している長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」では、EVやeーPOWERの強化を図るとしていますが、問題は「他社と比べてどれほど競争力があるのか」という点でしょう。トヨタやホンダがすでにEV戦略を加速させているなかで、日産が巻き返せるかは疑問が残ります。また日産は、電気自動車の性能を飛躍的に向上させる「全固体電池」の開発を進めていますが、同ビジョンでは2028年度までに実用を目指すとしており、まだ時間がかかります。2023年には、Z世代に向けたマーケティング戦略として「DRIVE MYSELF PROJECT」を始動するなど若年層のブランド認知向上を図っていますが、そもそも若年層に響く商品がなければ大きな意味を持たないでしょう。

 こうした施策は、これまでのハイブリッド軽視や研究開発費削減、経営戦略の迷走などによって、売れる車を作れる体制が維持できなくなった状況を覆すものには到底ならないはずです。また、近年の業績悪化は、高い収益率を誇っていた北米事業の採算が悪化したことも大きく影響しています。米国のトランプ新政権によるカナダとメキシコへの関税は、日産自動車の経営不振に追い打ちをかけるものとなりかねません。この点については、もちろんホンダなど他の日本の自動車メーカーも例外ではないでしょう。

出典:日産自動車ニュースルーム

抜本的な課題は「経営の不透明さ」か

 今回、ホンダとの協議が破談した大きな理由は、両社トップの会見から推察するに、統合の「形」に合意できなかったことにあると見られます。ホンダは、日産とのワンガバナンスを目指していましたが、日産はホンダの完全子会社となることが到底受け入れられなかったのでしょう。一方で、ホンダは日産との協議に入る際、「現在の状況で四輪事業において単独で生き残ることはできない」といった旨の発言をしていることから、ホンダにとっても日産との協業は必要なように思います。日産が、ホンダからの出資を受け入れるなどして協業する可能性は残っているのではないでしょうか。また、国内だけでなく、台湾の鴻海精密工業など、海外の企業と協業するという可能性もあります。

 カルロス・ゴーン元CEOの事件以降、日産はガバナンスの混乱に陥っています。ルノーとの関係性も複雑化し、経営の方向性が一貫していません。ホンダとの統合交渉が破談になったのも、このような「経営の不透明さ」が影響しているものと考えられます。日産は、他社と協業するとしても、自力でこの状況を脱するにしても、トップの入れ替えなど抜本的な大改革が求められるでしょう。

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田川 英紀
19歳から自動車販売店にて勤務を経て26歳で現在の(株)カーチョイスを設立。現在45歳。2児の父。26年間自動車販売を経験してきたプロの目から見た自動車業界の記事を情熱を持って書きます。中古車販売業者は競合が何万店もあり、どれだけ頑張っても売上が伸びないため、「このままでは倒産してしまうかもしれない」という思いに暮れることもありました。そして、大きく方向転換しなくてはという思いと、人に喜んでもらえる仕事がしたいという思いから、「業務レンタカー」という仕事が誕生しました。
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