レンタカー事業を始めるには何が必要?自社開業のメリット・デメリットとは

レンタカー事業を始めたい方へ

複雑な条件不要で独立開業できる事業として、レンタカー事業が注目を集めています。

国土交通省によれば、平成19年度に6,135だった事業者数は、令和元年には約2倍の12,373まで増加。車両数も約37万台から約77万台に増加したことが、レンタカー需要の高さを物語っているでしょう。

(出典:国土交通省

 

個人でも開業できるレンタカー事業の独立開業には、どんな手続きやものが必要なのでしょうか。今回はレンタカー事業の開業手順と、フランチャイズと比べたメリット・デメリットを紹介します。

レンタカー事業開始に必要な許可要件の確認

レンタカー事業の開業には、それほど難しい手続きは必要ありません。

しかし許可を受けるには一定の要件を満たす必要があり、また健全に経営するためには一定の法律を遵守する必要があります。開業準備の前に、それぞれの許可要件を満たせる状態にあるのかを確認しておきましょう。

人物に関する許可

国土交通省は、レンタカー事業の開業に際し、申請者およびその役員が以下の要件を満たしている必要があると定めています。

  • 過去2年以内に1年以上の懲役・禁固刑を受けていない
  • 過去2年以内に運送事業関連の許可取り消しを受けていない
  • 過去2年以内に運送事業関連の届出廃止をしていない
  • 過去2年以内に自動車運送事業経営類似行為により処分を受けていない
  • 未成年者、成年被後見人および法定代理人が上記に抵触していない

(出典:国土交通省

これらのうちひとつにでも該当する場合、欠格要件に該当したと見なされ、開業は認められません。

駐車場に関する許可

自動車の所有者は、所有するすべての自動車が駐車できるスペースを確保する義務があります。自動車の保管場所の確保等に関する法律

これはもちろんレンタカー事業においても同様で、すべてのレンタカーを停めるだけの駐車場の確保が必要です。

なお、駐車場は事務所から直線距離で2km以内になければいけませんが、すべての駐車場が1か所にまとまっている必要はありません。仮に10台のレンタカーを扱うなら、3台・3台・4台と、3か所の駐車場に分散できます。

また、駐車場は許可申請を行う時点において準備が完了している必要はありません。ただし、駐車場がないまま営業をするのは法律違反となるため、必ず営業前には駐車場が揃っている状態にしましょう。

整備に関する許可

レンタカー事業者は、以下の車種および台数の条件をひとつでも満たす場合、1名以上の専属の整備管理者をおく義務があります。

  • バス等(11人以上) 1台以上
  • 大型トラック等(総重量8トン以上) 5台以上
  • その他車両 10台以上

(出典:関東運輸局東京運輸支局

事業開始時点で上記の条件に該当しない場合には、有資格の整備士を配置する義務はありません。事業が拡大し、車両数を10台以上扱うようになった際には、整備管理者の選任を行いましょう。

また、整備管理者選任は、使用の本拠ごとに行う必要があります。今後複数の店舗を展開し、それぞれで上記の条件に該当するなら、店舗ごとに整備管理者の選任が必要になると覚えておきましょう。

レンタカー事業を始める開業の手順

レンタカー チェック

レンタカー事業の許可はそれほど厳しい基準ではありません。それでも一定の手順を踏む必要はありますので、以下の手順で申請を行いましょう。

1.許可申請書類の提出

以下の書類を地域の運輸支局に提出しましょう。

・自家用自動車有償貸渡許可申請書
・貸渡料金表
・貸渡約款
・法人の登記簿謄本(個人事業主の住民票)
・宣誓書
・事務所別車種別配置車両数一覧表
・貸渡しの実施計画を記載した書類

また、整備管理者をおく必要があるなら、この時点で届出が必要です。

申請書式は、各運輸支局のホームページに掲載されています。内容を確認し、書類に漏れがないように注意しましょう。

 

2.運輸支局による審査・許可

申請した書類は、運輸支局内にて審査が行われます。許可が下りるまではおおよそ1ヶ月程度の時間が必要です。なお、地域や混み具合によってこの期間は多少前後します。

無事に許可が下りれば、運輸支局から「許可証」「レンタカー事業者証明書」が交付されます。

 

3.レンタカー車両の登録

レンタカー事業に使用する自動車を、事業用自動車として陸運局に登録しましょう。登録には自動車それぞれに対し以下の書類、費用が必要です。

レンタカー事業者証明書
車検証
費用(ナンバー代)
手数料納付書
自動車税・自動車取得税申告書
申請書(車検証の再発行のため)

また、車検証の再発行には車庫証明も必要となるため、忘れずに取得しておきましょう。

無事に車両登録が済んだなら、届出が完了していることを証明する「事業用自動車等連絡書」が交付されます。

 

4.補助金の申請

国土交通省は「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業」の一環として、レンタカー事業者へ訪日外国人利用者の来訪を促進するための対応費用に補助を行っています。

事業を行うために必須の手続きではありませんが、利便性向上のためには有効な手続きといえるでしょう。

対象となる対応は

  • ホームページの多言語化
  • 翻訳機器の導入
  • 従業員痛いする多言語化研修の実施
  • キャッシュレス対応
  • 外国人ドライバー支援
  • 情報端末への電源供給機器設置

(出典:国土交通省

など多岐に渡ります。現在は新型コロナウイルスの影響で外国人観光客が減少していますが、状況が改善され次第観光客の回復も見込めますので、申請を検討しておきましょう。

 

レンタカー事業開業のメリット・デメリット

レンタカー事業を自分で行うには大きなメリットもある一方、デメリットもあります。

レンタカー事業を開業することが目的なら、大手のブランドを借りるフランチャイズという手段もあります。メリットとデメリットを比較検討し、何が一番よい選択かを考えましょう。

メリット1.レンタカーの車種、価格を自由に設定できる

自社運営なら、自社で扱うレンタカーの車種、レンタカー利用料を自由に設定できます。一方でフランチャイズにおいては、使用する車種や料金設定に一定の指定を受けることが少なくありません。

また、フランチャイズではロイヤリティやシステム利用料といった本部への支払いが定期的に発生します。毎月一定の支出が確実に発生しますが、自社運営ならそれも必要なく、固定費を安く抑えられるでしょう。

 

メリット2.車の入手方法に制限がない

フランチャイズでは、本社が指定した中古車販売店で購入しなければならないなど、車の調達方法を指定されるケースがあります。車種や購入のタイミングによっては一般で仕入れるよりも割高になる可能性もありますが、自社運営なら仕入れ先を自由に選べます。

 

メリット3.中古車やカー用品販売など事業に制限がない

フランチャイズでは多くの場合、ブランドの使用をレンタカー事業のみに制限されますが、自社運営では事業内容に制限がありません。中古車販売店やカー用品店を併設した車の総合ショップなど、アイデアひとつで自由に事業を展開できます。

 

デメリット1.広告宣伝活動に人の手を借りられない

さてここからは、デメリットです。

フランチャイズでは自社のHPへの広告掲載や、すでにできあがった広告媒体を利用できますが、自社運営の場合、広告宣伝も自ら行わなければなりません。広告のルートも自分で開拓しないといけないため、特に開業当初は広告の効率が悪くなる恐れもあるでしょう。

 

デメリット2.ニーズをつかみにくい

レンタカーは地域を相手にした商売です。それぞれ特徴を持った地域ごとにニーズもバラバラになりがちですが、ノウハウがないとどんな車に需要があるか、どこに顧客がいるかといったニーズをつかみにくく、なかなか商売につながらない恐れがあります。

集客や分析のノウハウを持つフランチャイズに比べ、開業当初は地域にあった車のラインナップを揃えにくい傾向はあるでしょう。

 

デメリット3.事業規模に応じたサービスを受けにくい

大手のフランチャイズでは、本社が持つネットワークを活かし、車の安価仕入れや割安の保険といった金銭的なサービスを利用できる恩恵があります。

しかし新興の自社事業にはまだ信用もないため、大手と比べると支出が割高になるリスクは避けられないでしょう。

レンタカー事業で失敗しないためポイント

時流に乗り、高い需要を見込めるレンタカー事業ですが、それでも必ず成功するとは限りません。商売を失敗させないためにも、成功に向けたポイントをしっかり押さえましょう。

1.地域のニーズに合ったサービスの展開

地域ごとにレンタカーの需要は大きく異なります。ファミリー層向けのバンが人気なのか、ビジネスでも使えるセダンが求められるのか、需要は様々です。入念なリサーチでニーズをつかみ、回転をあげられるような人気のラインナップを揃えましょう。

また法人向け、リピーター向けといった独自の割引制度や早期予約制度など、大手にはない自由なサービスを展開できるのが自社運営の強みです。かゆいところに手が届くサービスで地域の顧客の心をつかみましょう。

 

2.高いコスト意識

自動車は、お金をかけようと思えばいくらでもかけられる商品です。人気の高級車は人気が集まるかもしれませんが、果たしてそれが利益につながってくれるかどうか、しっかり検討しなければなりません。

顧客の要望を最低限のコストで最大限に実現できるよう、不要なコストは極力削るように心がけましょう。削減したコストはその分価格にも反映できますので、他社との価格競争でも戦いやすくなるでしょう。

 

3.リピーターをしっかりつかむ

レンタカーは貸し出されなければ利益を生まないため、高い回転率を実現させるのが成功への秘訣です。何度も長期間借りてくれるリピーターは、回転率を支えてくれる優良顧客です。まずは法人・個人を問わず、リピーターを確保するのが重要な営業目標となるでしょう。

優先的にスケジュールを抑えたり、長期割引やリピーター割引などのサービスで、優良顧客をしっかりリピーターに育て上げましょう。

まとめ:しっかり準備をしてレンタカー事業を始めよう

若者のマイカー需要が伸び悩む中、必要なときだけ借りられるレンタカー事業は成長を見せています。レンタカー業界には今後も多くの参入が予想されますが、その中でも成功を収められるよう、綿密な準備とともにレンタカー事業に臨みましょう。

レンタカー事業者としての独立が目的なら、フランチャイズという選択肢も検討の価値があります。

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また、少人数でも運営できる運営システムを導入しているため、副業での参入も安心です。フランチャイズでのレンタカー事業参入に興味がありましたら、ぜひ業務レンタカーまでお問い合わせ下さい。

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田川 英紀
19歳から自動車販売店にて勤務を経て26歳で現在の(株)カーチョイスを設立。現在45歳。2児の父。26年間自動車販売を経験してきたプロの目から見た自動車業界の記事を情熱を持って書きます。中古車販売業者は競合が何万店もあり、どれだけ頑張っても売上が伸びないため、「このままでは倒産してしまうかもしれない」という思いに暮れることもありました。そして、大きく方向転換しなくてはという思いと、人に喜んでもらえる仕事がしたいという思いから、「業務レンタカー」という仕事が誕生しました。

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