米国時間1月20日、トランプ大統領の就任式が行われました。就任からわずか1週間で署名された40を超える大統領令には、「EV(電気自動車)促進策廃止」も含まれます。また、トランプ大統領は、中国、メキシコ、カナダに対する関税の引き上げも表明しています。これにより、日本の自動車メーカーにも多大な影響が出るものと推測されます。
なぜ今になってEV促進策廃止?
バイデン前大統領は2021年、30年までに新車販売の半数をEVおよびFCV(燃料電池車)にする目標を掲げる大統領令を発令しており、自動車業界団体や環境団体、自動車メーカーなども、概ね歓迎する姿勢を見せていました。日本のメーカーも、ホンダが19年にカリフォルニア州で「クリーンカー枠組み協定」の声明を発表し、トヨタもEV促進について「雇用を守ることになる」との前向きな発言をしていましたが、ここに来て大幅な路線転換が強いられることになります。トランプ大統領は、EV購入に対する補助金制度の撤廃なども検討しているといいます。
トランプ政権がEV促進に消極的な理由は、EV促進には多額のコストがかかり、メーカーなどに大きな負担を強いることになるためです。米国環境保護庁によれば、23年の車両1台あたりの二酸化炭素排出量は過去最低水準となったものの、メーカーの多くは温室効果ガス排出基準を達成できていません。
また、トランプ大統領は「地球温暖化対策」から「化石燃料生産」へシフトする姿勢を見せています。大統領に就任した1月20日時点で、エネルギーに関する国家非常事態を宣言し、気候変動対策の国際的な枠組みである「パリ協定」から離脱する大統領令に署名しています。つまり、EV促進廃止には、自動車メーカーの救済に加え、バイデン政権が推進してきた気候変動対策からの離脱という目的があるのです。
トランプ氏は、選挙活動中から一貫して「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(アメリカを再び偉大な国へ)」を掲げています。就任演説では、「豊かな国になるためには『黄金の液体』が必要」と主張。米国の自動車産業の回復を「製造業国家」への回帰へとつなげたい考えなのでしょう。
出典:環境省
世界のEV促進も止まる?
トランプ大統領は、EV促進策の廃止こそしたものの、EVの否定まではしていません。とはいえ、世界的にもEV促進策廃止にブレーキがかかることは避けられないでしょう。
米国のEVメーカー大手のテスラは、24年の納車台数が10年以上ぶりに減少に転じ、利益も2年連続で減少しています。同社CEOのイーロン・マスク氏は、選挙時からトランプ氏支持を表明しており、トランプ政権では政府効率化省のトップも務めていますが、同社にとっては厳しい環境になったと言わざるを得ません。
出典:経済産業省
とはいえ、近年、EV化が著しいのは中国です。中国のEVメーカー大手BYD社は、24年第3四半期の売り上げ高が過去最高を記録し、売り上げ高でテスラを抜きました。すでに販売台数はテスラを上回っているため、名実ともにEVメーカーの最大手はBYDといえるでしょう。24年の販売台数は、ホンダや日産をも上回る見通しです。
一方、トランプ大統領は、中国に対しても輸入品に10%の追加関税をかけることを表明しています。大統領選中には、中国への追加関税を60%にするとの発言も見られました。
欧州でもEV化が進んでいますが、材料の中国依存や中国メーカーとの競争が大きな課題となっていることから、今後のトランプ政権の動きが、世界の自動車産業の方向性を大きく左右するものと考えられます。
日本の自動車メーカーには追い風か
出典:経済産業省
経済産業省によれば、日本国内のEVの車種数は増加していますが、日本のEV販売比率は24年第1四半期時点でわずか2%。米国の8%、欧州の13%、中国の17%と比べると、非常に低い水準です。日系のメーカーは、HV(ハイブリッド車)に強みを持っているため、トランプ政権のEV促進策廃止は、日系メーカーにとっては追い風になる可能性があります。
一方、2月からメキシコ・カナダへの「トランプ関税」がスタート。両国は日系メーカーが米国向けの車両を生産する重要な拠点のため、影響は避けられないでしょう。昨年12月末、経営不振からホンダとの経営統合基本合意書を締結したばかりの日産自動車は、トヨタやホンダ以上にメキシコからの対米輸出台数が多くなっています。
トランプ大統領の政策は、日本の自動車業界にとって良い面も悪い面もはらんでいます。とはいえ、第二次トランプ政権はまだ始まったばかり。今後も状況を注視していく必要があるでしょう。
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田川 英紀

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