顧客を「選ぶ」時代【月刊ガソリンスタンド連載第28回】

車のミライ

 ネット社会になった現代、クレームは単なる「厄介事」に留まらず、サービスを展開するうえでの「経営課題」に位置づけられます。たった1件のクレームがネットを介して地域全体、あるいは全国にまで拡散し、ブランドや信頼性に甚大な影響を及ぼす可能性があるためです。事実かどうかよりも「どう感じられたか」が重視されるこの時代。経営者は、クレームを“現場任せ”にするのではなく、“経営リスク”として捉える視点が求められます。

なぜクレームが生まれるのか

 どのようなサービスにおいても、クレームは顧客の期待とサービスの実態の乖離から生じます。業務レンタカーも、創業当時はクレームに悩まされました。重いん車両の不具合や貸出条件に対する誤解によるもので、たとえば「エアコンの効きが悪い」「バッテリーが上がる」「予約内容と実際の契約内容が異なる」といったクレームがありました。当時は私一人で対応しており、すべての問い合わせに電話で丁寧に応じ、謝罪や料金の割引対応も行いました。必要に応じて自ら代車を運び遠方まで行くなど、1件1件の信頼を回復するために、真摯に向き合ってきたことを今でもよく覚えています。

 この姿勢自体は今も変わりませんが、私一人で対応できることには限界があります。だからこそ、マニュアル化が求められるのです。加えて、個人的には今の時代、「顧客の厳選」が不可欠であると感じています。

顧客を「選ぶ」とは?

 「お客様は神様だ」という言葉があります。当然ながら、私もご利用者様への感謝と貢献を忘れたことはありません。しかし、すべての顧客に無条件で対応することが必ずしも経営にとって最善とは限りません。なぜなら、顧客のなかには、明らかに無理な要求や理不尽なクレームを繰り返す方も存在し、そのような対応が現場の疲弊や業務効率の低下を招くことになります。これが長期的に見ると、サービス全体の質を下げ、健全な経営を阻害しかねません。

 そこで業務レンタカーが実践しているのが「顧客の信用評価」です。信用情報の確認やクレジットカード決済の導入で、トラブルリスクの高い顧客を事前に排除し、事故やクレームの発生を抑制しています。これにより、保険料も1台あたり2500円と相場の3分の1程度の低水準を維持しています。結果的に、経費削減と安全性向上を両立することが可能になりました。顧客満足度(CS)だけでなく、従業員満足度(ES)を追求するうえでも、顧客をある程度選別することは、経営上不可欠といえるでしょう。

出典:厚生労働省

 また、「対応レベルの明確化」も効果的です。つまり、サービス提供側がどこまで譲歩し、どこからは断るかという基準をマニュアル化し、スタッフ全員が同じ判断基準を持つこと。これにより、一貫した対応が可能となり、クレームの発生・対応・満足度低下という悪循環を防げます。過剰なサービスは一見良いことのようですが、それが無理な要求を招き、結果的に他の顧客の満足度を下げるリスクを孕んでいることを理解する必要があります。

 「顧客を選ぶ」という経営判断は、一見すると冷たい印象を持たれがちですが、実際には全顧客へのサービス品質向上を目指すための合理的な戦略なのです。昨今では「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題になっており、4月には東京都などで初めてカスハラ防止条例が施行されました。カスハラへの基本方針などを制定する企業も後を絶ちません。社会的にも現代は、「顧客を選ぶ時代」になったといっても過言ではありません。

出典:厚生労働省

経営の根幹は「選んでもらう」ことに変わりはない

 いくら入念に備えたとしても、一定数のクレームの発生は避けられません。弊社は現在フランチャイズ展開を進めており、店舗数が急激に増加しています。事業拡大期は、クレームなどのトラブルも増える傾向にあります。最近も、別のレンタカー事業者の店舗だった場所に弊社の直営店を出店したところ、前の店舗とのルールの違いなどが原因でクレームに発展した事案がありました。「車を返せない」とまで言われてしまい、前オーナー様のご協力も得ながら2ヶ月ほどかけて車両を返却してもらいました。

 マニュアル化しても、顧客を選んでも発生してしまうクレームに対しては、真摯に対応すること以外、対応策はありません。お客様は神様ではなくても、事業の発展を支えてくれるかけがえのない存在です。顧客を選ぶ時代になったとはいえ、「選んでもらうサービスを提供する」という経営の根幹は今も昔も変わりません。

 

 

出典:中小企業基盤整備機構

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田川 英紀
19歳から自動車販売店にて勤務を経て26歳で現在の(株)カーチョイスを設立。現在45歳。2児の父。26年間自動車販売を経験してきたプロの目から見た自動車業界の記事を情熱を持って書きます。中古車販売業者は競合が何万店もあり、どれだけ頑張っても売上が伸びないため、「このままでは倒産してしまうかもしれない」という思いに暮れることもありました。そして、大きく方向転換しなくてはという思いと、人に喜んでもらえる仕事がしたいという思いから、「業務レンタカー」という仕事が誕生しました。
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