私はまもなく50歳になりますが、できる限り、トレンドやマーケットの動きに敏感でいられるよう努めています。とくに「マーケティング」は、どのようなビジネスとも切っては切り離せない関係です。私は26歳のときに初めて独立し、中古車販売会社を立ち上げました。今となっては、もう四半世紀も前の話です。当時は「価格の安さ」で勝負し、ろくに広告も打っていませんでしたが、それでも集客はできていました。しかし、今の時代は価格だけで勝負することはできません。
業務レンタカーが2年で全国40店舗まで急拡大できた理由
一昔前と現在の大きな違いは、ひとり1台スマートフォンを持っていることでしょう。気になることがあればWeb検索し、道がわかなければマップを開き、空いた時間はSNSやYouTubeに時間を費やします。サービスの利用や商品の購入、あるいはそこに至るまでの情報収集のすべてをスマホが担っていることから、今の時代のマーケティングにはSEO(検索エンジン最適化)やMEO(マップ検索エンジン最適化)、SNS、動画などの理解と活用が欠かせません。加えて、これらのシステムを「連結」させることが何より重要だと私は考えています。
業務レンタカーは、2021年にフランチャイズ経営を始めてから、わずか2年で全国40店舗まで拡大しました。今では、上場企業もフランチャイズ加盟店に名を連ねるレンタカー店に成長しています。フランチャイズ加盟店の集客手段は、FacebookやLP(ランディングページ)、SEO、YouTube、LINEなど多岐にわたりますが、これらを連結させることでその効果を高めています。たとえば、Facebookを見て興味を持っていただいた方をLPに誘導する。そこからLINEに誘導し、興味・関心を高めてもらうための動画やコンテンツをお送りする。より興味・関心が高まれば、LINEからいつでも面談予約ができる……といった具合です。もちろん各々の施策の強化は不可欠ですが、たとえば「SEOだけ」「SNSだけ」に強くても、多様化する現代の購買行動に合った集客はできません。
「ナーチャリング(顧客育成)」が必要な理由
かつては、ユーザーの興味・関心がある程度高まり、問い合わせや来場というアクションをしてもらうまでこちらは接触できませんでしたが、今の時代は「少し気になる」というユーザーにもアプローチが可能です。しかし、「気になる」程度では購入や導入といったアクションにはつながらないため、我々サービス提供者は「ナーチャリング(顧客育成)」をする必要があります。ナーチャリングとはつまり、ユーザーの「気になる」という気持ちを「実際に購入したい・導入したい」という気持ちまで高めていくことを指します。そのためには、多角的なアプローチでユーザーの心理状態にあったコンテンツを届ける必要があり、さまざまな情報・システムの連結が不可欠です。
ナーチャリングの重要性が高まっている背景には、ユーザーの購買行動の変化があります。現代の消費者は、商品やサービスを購入する前に多くの情報を収集し、慎重に検討する傾向があります。そのため、単に商品やサービスの特徴を伝えるだけでなく、顧客の課題解決や価値創造につながる情報を継続的に提供することが重要なのです。
大切なのは「デジタル」と「リアル」の融合
集客には、デジタルツールの活用が欠かせません。しかし、デジタルの活用だけで集客できるわけではありません。大切なのは「デジタル」と「リアル」の融合です。
どんなに秀逸なマーケティング手法を用いたとしても、サービスや商品が良くなければ購入や導入には至りません。利用していただけたとしても、長くは続かないでしょう。大前提として、良いものを作るには人の力が不可欠であり、加えて興味を持ってくれそうな人を想像し、どうすればサービスや商品の良さを伝えられるかといった戦略を立てるのも、人の手が必要です。弊社も、集客のすべてをデジタルに任せているわけではありません。興味を持っていただいた方とは、しっかり対話します。もちろん、現地にも赴くこともあります。
技術が進展した今の時代も、商品やサービスは人の想いから生まれます。業務レンタカーは、安く、便利にカーライフを楽しんでもらいたいという想いから生まれました。また、フランチャイズ事業については、土地の有効活用や働き方改革といった多くの企業が抱える課題の解決を目的の一つに据えて取り組んでいます。サービスを考えるときも、それを広めていく手段を考えるときも、人は何に悩み、何を欲しているかを人が考えることから始まるのです。
田川 英紀
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