2024年度スタート【月刊ガソリンスタンド連載第14回】

車のミライ

いよいよ2024年度がスタートしました。今年は、元旦の能登半島地震、日経平均株価4万円超え、日本銀行のマイナス金利の解除……と、すでに目まぐるしい出来事が目白押しです。私たちを取り巻く自動車業界では、昨年から不正発覚が相次ぎ、各方面で影響が出ています。ガソリンスタンドや私が身を置くレンタカー業界にも大きく影響する「自動車と人の関わり」も、この数年で大きく変化しました。このような時代の流れを感じ、将来を予測することがこの連載のテーマでもありますので、期初というタイミングで「車のミライ」を改めて考察していきたいと思います。

「バブル超え」は格差の表れでもある

出典:GoogleFinance

日経平均株価、新築マンション価格、一部エリアの地価上昇率。これらはアフターコロナに90年代バブルの水準を超え、過去最高となったものです。しかし、いずれも日本という国の「上澄み」であることは忘れてはいけません。日経平均株価は、いわずもがな日本中枢の企業の株価であり、日本の全企業の99%以上を占める中小企業はほぼ含まれていません。新築マンションについても、いまや分譲されるのは駅前・駅近・都市部に代表される好立地に限定されています。地価についても、上昇地点ばかりが取り沙汰されていますが、バブル崩壊以降、30年以上にわたって下がり続けているエリアも多数あります。

出典:内閣府「高齢化の状況」

90年代のバブル期と今の決定的な違いは、成長局面にないことです。人口はすでに減少し始めており、来年には団塊の世代が後期高齢者になることで、日本は国民の5人に1人が後期高齢者という“超”高齢化社会を迎えます。バブル期を超える業績や価格を記録するものもあれば、衰退していく産業もあります。成長局面にない今は、後者のほうが多いことでしょう。あらゆるものの「バブル超え」は、格差の拡大を象徴するものであり、私たちビジネスパーソンはその中で「伸びるビジネス」を見極めていく必要があるのです。

マイナス金利解除で中小企業は一層苦戦を強いられる

出典:総務省「2020年基準 消費者物価指数」

3月には、日本銀行がマイナス金利政策の解除を発表しました。日銀がかねてから目標にしていた物価2%が安定的に達成できていることに加え、春闘で一定の賃上げも見られたことから16年から続いていたマイナス金利の解除に踏み切ったのです。今年の賃上げ率は、速報値で5%超。33年ぶりの高水準ということですが、この点からもやはり格差を感じざるを得ません。大手企業は賃上げするだけの財力がありますが、中小企業にとってはなかなか難しいものです。賃金の格差が拡大すれば、採用面でも中小企業は苦戦することになるでしょう。

これからのビジネスに求められるのは「正しさ」

この連載でも何度か取り上げましたが、ダイハツ工業による認証取得の不正問題やビッグモーター社の保険金不正請求問題は、自動車業界への信用を大きく落としました。ただ、「不正」や「問題」にスポットが当てられているのは、自動車業界に限りません。宗教問題、ジャニーズの性加害問題、政治と金の問題、宝塚のパワハラ問題など、挙げればキリがありませんが、これまで当たり前のように行われ、当たり前のように見過ごされてきた問題が今になって明るみになり、断罪されています。こうした“膿出し”は、いつかどこかでされなければならなかったでしょうし、今後、「正しい」ビジネスや政治が評価される時代になっていく現れなのではないでしょうか。

伸びるビジネス・これからのフィールドでも戦えるビジネスとは

減っていく人口、進む高齢化、広がる格差。そして、変わっていく自動車と人の関わり。これらを考えたうえで誕生したのが、業務レンタカーです。今回は多くを語りませんが、人材不足や車離れなどの情勢に鑑みたモデルであり、働く人やその家族にとっても優しい、三方良しかつ持続可能性の高い、正しいビジネスであると自負しています。

ガソリンスタンドも中古車販売もレンタカー事業も、今後なくなることはないでしょう。しかし、目まぐるしい時代の変化に伴い、理念や提供価値、ビジネスモデルの変容は求められるはずです。変わっていく時代に対応することができなければ、やがては衰退します。変化は、その勇気さえあれば難しいことではありません。『利用者に求められ続けて、働く人・自分にとって利益になり続けるものやサービスってなんだろう?』シンプルすぎるかもしれませんが、伸びるビジネス・これからのフィールドでも戦えるビジネスの根幹は、これを追求した先にあると考えます。

 

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