人材不足をどう解消するか【月刊ガソリンスタンド連載第10回】

レンタカー 車のミライ

実は最近、ガソリンスタンドの経営者とお話させていただくことが非常に多くあります。先日も弊社のフランチャイズに興味を持っていただいている北海道のガソリンスタンドを周っていたのですが、ほぼ全ての経営者が「人材不足」を課題のひとつとして挙げていらっしゃいました。11月末には、富山県のガソリンスタンド社員の自殺が「過労死」に認定され、会社側に約6200万円の支払いを命じる判決が言い渡されました。亡くなった方の時間外労働は月100時間を超え、重いノルマを課されていたこともあり、14日連続勤務もあったといいます。

考えるべきなのは人件費削減ではなく「業務の効率化」

人材不足は、ビジネスにおいて「負のスパイラル」の入り口となります。人材が不足するから、従業員の労働時間が長期化する。従業員満足度が下がって定着率が下がる。採用の度にコストがかかる。費用負担分を小売価格に転嫁せざるを得ない。価格競争に負けて集客できなくなる。このようなスパイラルを断ち切るためは、必要な人員を少なくすることと人材を定着させることが求められます。

「そんなことはわかっている」とお考えでしょうが、業務負担を下げること、そして従業員の働き方などに目を向けることを後回しにしてしまっていませんか?目先の利益を追求するため、集客や資金調達、新規店舗開拓などにリソースが奪われていませんか?……これらの問いかけは、実は昔の私に向けたものです。レンタカー事業をスタートさせる前、私は中古車販売業を営んでいました。結論からいえば中古車販売業は失敗してしまったわけですが、当時の失敗の要因こそ「人件費」や「人材」といった視点が抜け落ちていたことにあると考えています。結果として、業務レンタカーという今の事業にたどり着いたため九死に一生を得ましたが、逆に言えばあのまま中古車販売を続けていたら今の私はいません。

(公正取引委員会による令和3年の調査)

とはいえ、中古車販売は人が営業しなければ始まりませんから、人件費はなかなか削減できません。むしろ、無理に人件費を削減すべきではないでしょう。それこそ、負のスパイラルに陥ってしまうからです。ガソリンスタンドも、営業を主としていないとしても人手は必要であり、人件費の削減は難しい業種なのではないでしょうか。

公正取引委員会によれば、ガソリンスタンド全体の総販売原価に占める人件費の平均は6・87%。(令和3年)セルフとフルでも差はありますが、ここから大きく外れていないのであれば、考えるべきは人件費の削減ではなく「業務の効率化」になってくるでしょう。

業務効率化の考え方

業務レンタカーという事業を考える前提となったのが、まさに「業務効率化」です。中古車販売業は人手が不可欠な事業ですが、「だったら人手が最小限で済む事業をすればいい」という安直ともいえる考えから生まれたのが業務レンタカーです。

 

こちらの連載でも何度かお伝えさせていただいたとおり、業務レンタカーはワンオペ営業ができます。たった1人で100台の貸し出し・返却をも可能にしたのは、弊社が特許を取得しているシステムです。今回は詳しい話は割愛しますが、私が言いたいのは、業務の効率化にはときに逆転の発想が必要だということ。給油をセルフにするというのも、当時はおそらく画期的なものだったはずです。このような発想はなかなかできるものではありませんが、当時と今は大きく違います。AIやIoT技術が発展しており、さまざまな業界でさまざまな方法で業務効率化が推進されています。

「給油」という面ではさらなる効率化が難しいとしても、たとえばバックヤードにいるスタッフの業務負担を軽減するため、監視カメラの機能を高めているガソリンスタンドもあるようです。また、すでにさまざまな業界に導入されているピークタイムの分析やスタッフのスケジュール調整などにもAIを取り入れることができるでしょう。顧客の属性や購買履歴などをAIに分析させれば、消費者ニーズの高い商品やメンテナンスメニューなどが提案でき、売り上げアップにもつながるかもしれません。商業施設の駐車場などに取り入れられている車両番号認証システムと併せて使えば、さらなるデジタル化、効率化も目指せるはずです。そして、業務の効率化は従業員の負担軽減にも直結します。

「業務効率化」「MA」は難しいものではない

弊社では、特許システムの構築やSEO、MEOによるMA(マーケティングオートメーション)など、一見すると難しいと思われる施策をほぼ私1人が主導して行っています。もちろん、エンジニアなどの手を借りることはありますが、まずは自分で勉強し、トライアンドエラーを繰り返しながら事業に取り入れてきました。業務の効率化とは、既存の業務体系を壊すこと。そのためには、経営者自身の「苦手」「自分にはできない」という先入観を壊すことも必要かもしれません。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました