2024年はどんな年になるか【月刊ガソリンスタンド連載第9回】

社用車 車のミライ

私が月刊ガソリンスタンドで連載を始めさせていただいてから、早いもので9ヶ月が経ちました。2023年も終わるということで、今回は、来年、私たちを取り巻く環境がどうかわっていくかについて考察していきたいと思います。

「2024年問題」の影響は

出典:総務省統計局

読者の皆さんはご存じのことと思いますが、2024年は社会的な変化が大きいと予想される年です。まず、日本の人口の半数が50歳以上になるのが来年です。これは「2024年問題」といわれ、車業界のみならず、日本経済全体への影響が危惧されています。すでに感じられている人も多いでしょうが、どの現場でも人手不足は深刻化しており、この傾向はますます深刻になっていくものと考えられます。ビジネスにおいて必要なものは、言わずもがなヒト・モノ・カネです。このうち「ヒト」の重要性は今後ますます高まっていきます。

もちろん、労働者のみならず、消費者の高齢化も進んでいます。2025年には、団塊の世代が後期高齢者に。免許証を返納する人も増えていく年代に差し掛かってきます。さらに「物流業界の2024年問題」とも言われている、ドライバーの労働時間の上限が課される問題。これも、ガソリンスタンドの集客に少なからず影響してくるのではないでしょうか。

出典:厚生労働省

顧客の「絶対数」が減っていく。そして、労働者も減っていく。残念ながら、これは覆しようのないミライです。ただこれは、どのビジネスにおいても言えることでもあります。ミライを悲観するのではなく、するべきは備えです。今年の連載の中でもお伝えしてきましたが、「ピンチをチャンスに」「ガソリンスタンドに付加価値を」「持続可能性のある営業を」……これらの重要性がますます高まるのが、2024年という年になってくるのではないでしょうか。

ガソリン価格はどうなっていくのか

出典:ゴーゴラボ

10月末、政府は物価高に対応するためガソリン補助金を2024年4月まで延長する方針を示しました。ただし、5月にはその規模を縮小するとしています。そもそも、ガソリン価格の大きな要因となっている円高がどうなるかも気になるところでしょう。日本はこれ以上の利下げはできず、かたや利上げができてももはや限定的な米国。あくまで個人的な見解ですが、この構図から、来年後半には徐々に日米の金利差が縮小し、円高の傾向になっていくものと考えています。とはいえ、日本の賃金が順調に上がっていくとは思えません。

円高でガソリン価格の高騰が収まったとしても、ガソリンスタンド界隈の根本的な課題が解決されるわけではなく、覆しようのないミライは必ずやってきます。

ビジネスは「長期的視点」を持つことが大事

中短期的な動向というのは、もちろんビジネスをするうえで気にするべきではあります。しかしながら、経営者が念頭に置くべきは、先ほども申し上げたとおりビジネスの「持続可能性」であり、長期的な視点だと思います。

「長期レンタカー」というブルーオーシャンな市場を主戦場としている弊社も、長期的な視点から「持続可能性」を見出したのであり、常に労働者の減少および消費者の多様化といった課題に問題意識を持ち、「停滞」を回避する施策を打ち出しています。例えば、2023年には、一部店舗で長期レンタカーには珍しい「送迎サービス」を開始しました。「100台稼働させてもたった1人で営業できる」ことを強みの1つとしている弊社からすれば、「送迎」のハードルは決して低いものではありませんでした。しかし、すでに特許を取得しているシステム「24時間無人貸し出し・無人返却」とともに、徹底的な「無駄」の排除や予約の取り方の工夫から、「送迎」という付加価値提供の実現にまで漕ぎ着けました。

これからの時代は「VUCA時代」とも言われています。つまり、今後は「Volatillity(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」があるということ。コロナ禍で暮らし方・働き方が大きく変化し、2023年には中古車販売会社の不正問題もメディアで大きく取り上げられたこともあり、カービジネスへの消費者の目は一層厳しいものになりつつあります。このような変化を、「逆風」と捉えるか「チャンス」と捉えるか。これは経営者次第です。

来年も、中古車市場、レンタカー市場で30年間戦ってきた私なりの「市況の見立て」や「ビジネスの持続可能性」、そして「カービジネスのミライ」についてお伝えさせていただくつもりでおりますので、どうぞお付き合いください。

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