この記事が出ている頃には、米国の次の大統領が決まっていることでしょう。1月には、新たな大統領が就任することになります。現バイデン政権では、電気自動車(EV)の普及を強く推進しています。民主党のハリス氏はこの政策を引き継ぐ意思があるでしょうが、上下議会のねじれが生じれば、推進に圧力がかかるはずです。一方、共和党のトランプ氏はEVの推進に否定的であることから、いずれにしてもEVの推進には一定の後退が見られることになるでしょう。
また、米国の大統領選にかかわらず、私個人としては日本でEVの普及が急速に進むことはないと考えています。
電力供給体制が不十分
現時点で、日本においてEVの普及が進むことは、さまざまな理由で難しいのではないかと思います。その一番の理由は、電気自動車の普及を支えるための電力供給体制がまだ整っていないことです。具体的には、日本中の車がすべて電気自動車になった場合、それらを充電するための電力を供給できる発電所が足りないと言われています。
この問題については以前から専門家も指摘しており、トヨタの社長は「国内すべての車が電気自動車になったと仮定すると、電力供給や充電のために原子力発電所10基分に相当する発電能力の強化が必要になる」と発言しています。
とはいえ、日本における車が全て一度に電気自動車に切り替わるわけではありません。だからこそ、少しずつ時間をかけて普及していくことになるでしょう。しかし、これには社会全体の動きや政策の後押しが必要です。現状では、電気自動車が普及しやすい環境が整っているとはいえず、ガソリンスタンドのように便利に充電できる場所が少ないのが現状です。10年前と比べると全国のEV充電スタンドは確実に増加していますが、ここ数年は大きな伸びはなく、むしろ普通充電スタンド口数にいたっては減少傾向にあります。
■過去10年間の全国EV充電スタンド口数 経年変化

出典:ゼンリン
日本におけるこれまでのEV普及施策と課題
少し前の話になりますが、かつて郵便局が一部で電気自動車の導入を試みたことがありました。しかし、2011年の東日本大震災が発生した際、原子力発電所の事故が起き、電気やエネルギーに関する議論が大きく変わりました。震災の影響で「電気が必ずしも安定供給できるものではない」という認識が広まり、さらに原子力への不安から、電気自動車の普及計画が一気に停滞しました。東日本大震災を機に、日本社会はエネルギー問題に非常に敏感になったため、これ以降、電気自動車の普及にもより慎重な姿勢が求められるようになったのです。
12年度には補正予算などで一気にEV充電器が整備されましたが、その多くが老朽化しており、耐用年数を迎えています。都市部で充電できる施設や高速道路のSAなどでは週末に大渋滞が発生し、山間部などが空白地帯となっていることも大きな課題といえるでしょう。
21年には、当時の菅首相が、「2035年までにガソリン車の販売を禁止する」と発表しましたが、実際にこの目標を達成するためには、まず発電所の増設が必要であるという問題が浮き彫りになっています。国内でもこの課題が認識され始め、電気自動車に対する慎重な姿勢が見られるようになりました。
このような課題は、日本だけでなく海外でも同じように議論されています。電気自動車を普及させるためには、充電インフラの整備、発電所の増設、エネルギー供給の安定性などが必要であり、これには膨大なコストや時間がかかります。
■充電インフラ整備についての課題

出典:経済産業省自動車課
現在の国内普及率はわずか3%足らず
現時点では、日本各地で電気自動車の充電設備が増えているわけではなく、一般のガソリン車と比べると、まだまだ不便な点が多いのが実情です。ディーラー各社も電気自動車のモデルを提供していますが、販売が爆発的に伸びているとはいえません。2022年の日本のEV販売数のシェア率は、わずか2・5%です。
■主要国・地域における電気自動車の販売比率の推移

出典:経済産業省資源エネルギー庁
日本では現在、EVの購入に最大85万円と非常に手厚い補助金制度があります。しかし、お得に購入できたとしても、「充電しにくい」という現状は消費者の大きな懸念事項になるはずです。電気自動車が本格的に普及するためには、画期的な発展や技術革新による充電設備も大衆化が必要不可欠でしょう。
たとえば、テスラのような大企業が革新的な発電システムを開発し、どこにいても電気自動車を簡単に充電できるようなインフラを整備することができれば、日本社会もより電気自動車を受け入れやすくなるはずです。逆にいえば、このような技術革新がなければ、電気自動車の普及はなかなか進まないものと考えられます。
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田川 英紀

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