レンタカーの自動車保険はどうする?種類・特約・補償内容をプロ目線で解説

マンスリーレンタカー 保険 マンスリーレンタカー・長期レンタカー

運転中に事故を起こすと、場合によっては億単位の賠償金を請求されるケースがあります。

そのため、車検時に加入する自賠責保険はもちろん、さらに手厚い補償を受けられる任意保険(以下:自動車保険)への加入も可能。

しかし、レンタカーとなると、

・マンスリーレンタカーにも自動車保険は付いてるの?
・どんな種類の保険がセットされているの?
・どんなケースで補償が受けられるの?
・どの程度補償額があれば安心なの?

などといった疑問をお持ちの方も多いはず。

そこで今回は、プロである筆者が、レンタカーに付随する自動車保険の種類と仕組みを詳しく解説し、疑問の数々を丸ごと解決したいと思います。

レンタカーにも自動車保険は必須!自賠責保険について

レンタカー

はじめに、レンタカー業を営むには自動車保険(自賠責保険)の加入が必須。

つまり、時間制・マンスリーに関わらずレンタカー会社は、所有する貸出車すべてに自動車保険をかけていということ。

安心ですが、法的強制力のある「最低補償額」は、下表のように定められています。

補償・保険名 最低補償額
対人賠償保険 1人当たり8,000万円以上
対物賠償保険 1事故当たり200万円以上
人身傷害保険 1人当たり500万円以上

極端な話、この最低補償額さえクリアしていれば、堂々とレンタカー業を営むことができます。

しかし、事故遭遇率が上昇する長期レンタカー利用時は、可能な限り補償額の大きなへ業者を選ぶよいでしょう。

【レンタカー利用の前に】自動車保険の種類と補償内容をおさらい

マンスリーレンタカー免責補償

対人賠償保険

前項で紹介した補償・保険のうち、対人賠償保険は事故相手の「人的損害」を賠償するものです。

そして、人身事故を起こし死亡させたり後遺障害を負わせてしまった時の賠償金額は、莫大な金額になることもあり、年々上昇傾向を見せています。

【人身事故高額賠償判決例】

認定総損害額 被害者 職業 被害 裁判所 判決年月
5億2,853万円 男性41歳 眼科開業医 死亡 横浜地裁 2011年11月
3億9,725万円 男21歳 大学生 後遺障害 横浜地裁 2011年12月
3億9,510万円 男20歳 大学生 後遺障害 名古屋地裁 2011年2月
3億8,281万円 男29歳 会社員 後遺障害 名古屋地裁 2005年5月
3億7,886万円 男23歳 会社員 後遺障害 大阪地裁 2007年4月

※損害保険料率算出機構「自動車保険の概況 平成29年度」より

ご覧いただければわかるように、上記で示した8,000万円という補償額では到底カバーしきれません。

しかし、多くのレンタカー会社において対人賠償保険は「無制限」であるため、あまり心配する必要はないでしょう。

対物賠償保険

ただ、問題は物損事故発生時の賠償責任を補償する「対物賠償保険」の方です。

大手レンタカーの一角であるニッポンレンタカーは3,000万円、日産レンタカーは2,000万円が対物賠償保険の「補償限度額」となっています。(いずれも追加料金で無制限とするコースあり)

しかし「物損事故ならそれだけあれば十分」という認識は甘いのです。

なぜなら、物損事故による賠償範囲は、事故によって破損させたモノ自体の価値や損傷程度だけではなく、休車損害や営業損失など、事故に遭ったことで生じた間接的な損害も含まれるから

例えば、パチンコ・スロット合わせて300台程度設置している、小・中規模のパチンコ店でも1日平均売り上げは「約700万円」、仮に車で突っ込んで10日間営業がストップすると、「7,000万円」を超える賠償を請求される可能性もあるのです。

つまり、対人・対物共に「無制限」で補償しているレンタカー会社がやはり一番安心というわけです。

弊社では万が一の事故発生に備え借受人の負担を最大限少なくするため、いずれも「無制限補償」へ加入しており、当然追加料金もいただいていません。

人身傷害保険・搭乗者傷害保険

対人・対物賠償保険が、いずれも他人に与えた損害をカバーするのに対し、人身傷害保険及び搭乗者傷害保険は、ドライバー自身と同乗者が被った被害を補償する保険です。

よく混同されることもありますが、実は似ているようで全く違います。

簡単に説明すると、
人身傷害→借受人及び同乗者が事故によって死傷した場合、補償額を上限に治療費や精神的・休業損害など、実費・損害額を受け取れる
搭乗者傷害→あらかじめ決められた金額を受け取れる

つまり、人身傷害だけでは同乗者のケガなどが補償されない、と考えている方も多いようですがそんなことはなく、搭乗者傷害は補助的な「特約」であり補償範囲の大部分は相手側の自賠責、及び任意保険でカバーされるため「加入必須」とは言えません。

そして、弊社を含めほぼすべてのレンタカーは搭乗者傷害を付属していませんが、認可最低補償額を大きく上回る人身傷害保険に加入済みであるため、目安的に「1名当たり3,000万円」の補償がセットされていれば、ひとまず安心と考えて良いでしょう。

レンタカーの保険には「他車運転特約」が活用できる

こちらの記事で詳しく解説しています。

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「ノン・オペレーション・チャージ(NOC)」は補償適用外のケースに注意

レンタカー 注意点

対人・対物賠償及び人身傷害保険と合わせ、レンタカーを事故で破損した時の損害を補償してくれる車両保のチェックも重要です。

車両保険をチェックするうえで確認すべきは、次の3点。

1. 借受人の自己負担となる「免責額」
2. 免責補償制度「CDWの料金」
3. 休業・休車保証料「NOCの存在」

大手である日産レンタカーと弊社を比較すると下表のようになります。

業者名 免責額 CDW料金 NOC
日産レンタカー 対物賠償&人身傷害保険5万円

車両保険5万円(※1)

1,320円/日 自走返却2万円

上記以外5万円

業務レンタカー(弊社) 対物&人身5万円

車両保険(自走返却)5万円

車両保険(上記以外)10万円

200円/日(※2) 自走返却3万円

上記以外5万円

※1・・・マイクロバス、1ナンバーは10万円かつレッカー代は別途請求。
※2・・・30日間6,000円のCDW、「安心サポート」加入時の日割り計算。

両社とも免責額についてはほぼ同等です。

しかし、日産レンタカーの対物賠償補償額は2,000万円までと少々不安が残り、CDWの料金設定も弊社の方がリーズナブルなため、長期レンタルの場合は安心かつお得に利用できるでしょう。

ただ、弊社の場合、細かい修理や清掃が必要なケースのNOCは大手より若干高めで、現状NOCを免除するサービスを用意していませんので、安全運転と貸出車の丁寧な取り扱いにはご留意ください。

 

なお、弊社・大手問わず、次に該当する場合は保険・補償の適用外となる可能性があるため注意が必要です。

① 事故時に警察・レンタカー会社への連絡など所定の手続がない
② レンタカー会社の貸渡約款に違反
③ 損保会社の保険約款の免責事項に該当
④ 使用・管理に著しい落ち度があった
なお、レンタカー会社による補償内容の違いについてはこちらの記事でより詳しく解説しています。
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まとめ

レンタカー利用時に限らず、交通事故を起こさないに越したことはありません。

慣れないクルマを運転するからこそ万が一に備え、できる限り手厚い補償を完備しているレンタカーをチョイスしたいですね。

特に、長期利用を考えている場合は事故遭遇率が高くなるため、CDWの有益性・必要性がグンと高まります。

低価格でCDWに加入できる、弊社自慢のマンスリーレンタカーも、ご利用をぜひ一度ご検討ください。

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田川 英紀
19歳から自動車販売店にて勤務を経て26歳で現在の(株)カーチョイスを設立。現在45歳。2児の父。26年間自動車販売を経験してきたプロの目から見た自動車業界の記事を情熱を持って書きます。中古車販売業者は競合が何万店もあり、どれだけ頑張っても売上が伸びないため、「このままでは倒産してしまうかもしれない」という思いに暮れることもありました。そして、大きく方向転換しなくてはという思いと、人に喜んでもらえる仕事がしたいという思いから、「業務レンタカー」という仕事が誕生しました。

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