レンタカーを借りる際、気になるのが事故の対応だと思います。
事故のなかにはレンタカーの保険だけではまかないきれない場合もあり、そのような時は、愛車が加入している保険で補償を受けることができます。
一般的な任意保険の中には、「他車運転特約」という制度が入っています。
他車運転特約とは、愛車以外の車を運転時に事故を起こしてしまった際、愛車にかけてある保険を使い補償を受けるという制度です。
ではどのような場面で使えるのかを、具体的な例を交えながらご紹介していきます。
【保険の基礎】車の保険には4種の補償がある
車には4つの補償があります。
対人、対物はもちろん、かけてある保険によっては車両も補償内容に含まれます。
対物に対しての補償
対物とは車で事故を起こしてしまった際、壊した物を指します。
例えば
・車同士の事故によって、相手の車に傷を負わせてしまった
そのような時適用される保険です。
対人に対しての補償
対人とはケガをさせてしまった相手を指します。
保険の中で、一番高額な請求の来る可能性がある補償が対人です。
もちろん人の命はお金で解決できることではありません。
しかし奪った命を償うことができない以上、お金という形で罪を償うことが日本では一般的であり、相手が生きていたとしても一生残る障害を負わせてしまえば、治療にかかる負担を加害者が払わなければならないのです。
車両に対しての補償
愛車の傷に対しての保険は対人対物とは別であり、「車両保険」に加入しなければ補償を受けることはできません。
自損事故や災害によってついた傷にも適用される車両保険は、補償のなかで最も使用頻度が高い保険だといえるでしょう。
しかし任意保険は高額なだけに車両保険に入らない方も多く、不要であれば加入しないという選択肢もあります。
自分や同乗者に対しての補償
人身傷害補償は自分自身のケガや、同乗者に負わせてしまったケガを補償します。
対人対物と違い金額が設定されている補償なので、いくらまで補償してくれるのかを把握しておきましょう。
他車運転特約とは
他車運転特約とは、愛車以外の車を運転時に事故を起こしてしまった際、愛車にかけてある保険を使い補償を受けるという制度です。
他車運転特約はレンタカーも補償の対象になる
任意保険に含まれている他車運転特約の補償内容は、レンタカーにも適用されます。
他車運転特約は、レンタカーだけではなく友達の車を運転した場合でも適用対象内です。
適用できる条件はありますが、万が一レンタカーで事故を起こしてしまった場合でも、安心できる補償内容だといえるのではないでしょうか。
しかしここで疑問となるのが、
「レンタカー会社も貸し出す車に任意保険をかけているのに、自分の車の保険を使用する必要はないんじゃないか？」
という点。
確かに、レンタカーもレンタカー会社が任意保険に加入しています。
対人、対物、車両など一通りの補償内容はあります。
しかし同乗者が一緒に乗っていて、自分と同乗者、両方大きなケガをしてしまった場合はどうでしょうか。
そのようなとき他車運転特約を使用し、愛車にかけてある補償を使うことで、同乗者の治療費をまかなうことができるのです。
レンタカーを借りる理由は人それぞれ違うと思います。
・友達と遊びに行く
・出張での移動手段
・引っ越しなど荷物をたくさん運びたい時
などいろんな場面が想定されます。
車に乗っている以上、絶対に事故を起こさないという確約はありません。
万が一の場合も想定しレンタカーを借りることで、事故の際スムーズな対応ができるのではないでしょうか。
他車運転特約とレンタカーの保険はどっちが優先？
では、レンタカーを借りての事故の場合、レンタカーの保険と自分の保険どちらを使うのでしょうか。
答えは、まずレンタカーの保険が適用され、足りない分を自分の保険でまかないます。
レンタカーの保険で足りない部分というのは、先ほどお伝えしたような同乗者もケガをしてしまった場合をはじめ、
・対人1名の条件で2名以上にケガをさせてしまった場合
・保険の免責事由に該当した場合
・レンタカーの使い方に管理上の落ち度があった場合
などです。
注意してもらいたいのは、借り物のレンタカーで常識外れの使い方をし、事故を起こした場合保険はおりないという点です。
レンタカーを借りる時に条件を提示され、その条件に同意することで車を借りることができます。
条件以外の使用方法では、いくら任意保険がかけられてあったとしても保険は使用できず、使用者であるあなたに全額請求がきてしまうなんてことも。
例えば利用時間を大幅に超えているのにもかかわらず、レンタカー会社に連絡をしなかった場合などは、この条件に該当します。
レンタカーは自分の車ではありませんので、借りている車であるということをしっかりと意識し、大切に乗ることを心がけていきましょう。
他車運転特約の注意点
他車運転特約はとても便利な制度ですが、使用する際の注意点も存在します。
対象車両を限定している場合
愛車にかけてある保険は、対象車両を限定するといった選択も可能です。
その場合、自分の所有している車しか補償が適用されないため、レンタカーで事故を起こした場合補償してくれません。
車両を限定するメリットは、値段が安くなる点です。
もし愛車の保険で車両限定をしているのであれば、レンタカーでは適用できないということを覚えておきましょう。
レンタカーを汚した場合は保険適用外
例えばコーヒーをこぼしてしまった場合などは、保険を使用することができません。
その他にも大きな荷物を運ぶためにバンを借りた際、家具の角が車のパネルにあたり、大きな傷をつけてしまったなども保険対象外となります。
この場合、自分の保険はもちろんの事、レンタカーの保険も対象外となり営業補償という賠償責任が発生してしまうのです。
営業補償はノンオペレーションチャージ（NOC）とも呼ばれ、事故とは別で免責金額が定められています。
保険会社の中にはNOCを免除するオプション設定もあり、もし不注意で汚してしまう可能性もあるならばオプションの加入がオススメです。
事故を起こしたとき保険対象者以外が運転していた場合
車両限定と同様に、運転している人にも対象外があります。
同居している子供ならば保険の対象に入れている方も多いかもしれませんが、たまに帰ってきた子供だと対象外だということをついうっかり忘れてしまい、補償が適用できないなんてことにもなりかねません。
補償の内容をしっかりと把握し、事故が起こった場合どうなるのかを考えておくことで、トラブルを未然に防ぐことにもつながるのではないでしょうか。
まとめ
レンタカーにはレンタカー会社が契約している任意保険がかけられていますが、レンタカーの任意保険だけではまかないきれない賠償が発生する場合もあります。
そのような場合、愛車の保険を使用することができます。
他車運転特約とは愛車以外の車で事故を起こした場合適用される補償であり、レンタカーも適用対象内となるのです。
事故によって賠償金額は変わりますが、もしお医者さんなど年収の高い人をはねてしまった事故などは、億単位の請求がくることもあります。
事故を起こさないことはとても大切ですが、万が一事故を起こした場合でも保険が使用できる環境にすることで、思いがけないトラブルにも対処できるのではないでしょうか。
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田川 英紀
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