- 一般的にレンタカーは自動車保険に加入しているため、必ず利用者が自分で保険に加入しなければならないわけではない
- ただし、補償限度額や免責金額、ノンオペレーションチャージの有無はレンタカー会社によって異なる
- 事故時の自己負担を抑えたいなら、免責補償制度やNOC補償などの任意加入オプションもあわせて確認・検討しておこう
レンタカーを借りるとき、自動車保険に入る必要があるのか気になりませんか。
マイカーでは任意保険に加入する方が多い一方で、レンタカーの保険はどのようになっているのか、よくわからないまま借りている方も少なくないでしょう。
一般的なレンタカーは、自賠責保険だけではなく任意保険にも加入した状態で貸し出されています。ただし、補償限度額や免責金額、ノンオペレーションチャージの有無によっては、自己負担が発生することもあります。
この記事では、レンタカーの自動車保険の基本から、自賠責保険と任意保険の違い、注意しておきたいポイント、安心して利用するための確認事項まで解説します。
レンタカーも自動車保険は必須!自賠責保険と任意保険とは

一般的なレンタカーは、レンタカー会社があらかじめ自動車保険に加入したうえで貸し出しています。
レンタカー事業は国の許可を受けておこなう事業であり、保険や補償の体制を整えたうえで貸し出しています。
したがって、利用者がレンタカーを借りるときは、基本的にレンタル料金の中に自動車保険の保険料も含まれています。ただし、補償の内容は会社によって差があるので、契約前に内容を確認しておくことが大切です。
まず知っておきたいのが、自賠責保険と任意保険の違いです。
レンタカーの自動車保険を理解するうえで、この2つの役割を分けて考えるとわかりやすいでしょう。
▶レンタカーの自損事故に保険は使える?保険の種類と補償範囲を徹底解説!
自賠責保険
自賠責保険は、すべての車に加入が義務づけられている強制保険です。最低限の補償であり、レンタカーも例外ではありません。
補償の対象になるのは人身事故のみで、事故相手の死亡・後遺障害やけがによる損害が補償されます。
| 死亡による損害 | 最高3,000万円 |
| 後遺障害による損害 | 最高4,000万円 |
| 傷害による損害 | 最高120万円 |
ただし、自賠責保険だけでは補償できる範囲がかなり限られます。たとえば、相手の車や建物を壊した場合の修理費、自分や同乗者のけが、レンタカー自体の損害などは対象外です。
任意保険
自賠責保険で足りない部分を補うのが任意保険です。
任意保険では、相手への対人賠償や対物賠償に加えて、運転者や同乗者のけがを補償する人身傷害保険などが用意されています。自賠責保険では足りない高額な賠償や、物損事故にも対応できるので、レンタカーの自動車保険の中心は任意保険だといえるでしょう。
レンタカー事業では、一定の基準を満たす保険や補償が求められています。最低基準として定められている補償は次のとおりです。
| 対人賠償保険 | 8,000万円以上/1人あたり |
| 対物賠償保険 | 200万円以上/1件あたり |
| 搭乗者保険 | 500万円以上/搭乗者1人あたり |
補償の内容は会社によって異なりますが、レンタカーを借りるときに、まったく保険がない状態で運転するわけではありません。
自動車保険の種類と補償内容

ひとくちに自動車保険といっても、補償の対象は大きく分けて、事故相手への補償と、運転者や同乗者への補償があります。なにがどこまで補償されるのかを理解しておくと、レンタカーを借りるときの不安を減らしやすくなるでしょう。
ここでは、自動車保険の主な種類と補償内容を解説します。
対人賠償保険
対人賠償保険は、事故相手にけがを負わせてしまった場合や、死亡・後遺障害が残ってしまった場合の損害を補償する保険です。
人身事故では、治療費や慰謝料だけではなく、休業損害や逸失利益まで含めて高額な賠償になることがあります。実際に、自動車事故では数億円規模の高額な賠償事例もあります。
| 認定総損害額 | 被害者 | 職業 | 被害 | 裁判所 | 判決年月 |
| 5億2,853万円 | 男性41歳 | 眼科開業医 | 死亡 | 横浜地裁 | 2011年11月 |
| 3億9,725万円 | 男21歳 | 大学生 | 後遺障害 | 横浜地裁 | 2011年12月 |
| 3億9,510万円 | 男20歳 | 大学生 | 後遺障害 | 名古屋地裁 | 2011年2月 |
| 3億8,281万円 | 男29歳 | 会社員 | 後遺障害 | 名古屋地裁 | 2005年5月 |
| 3億7,886万円 | 男23歳 | 会社員 | 後遺障害 | 大阪地裁 | 2007年4月 |
たとえば、被害者が一家の働き手だった場合や、若い方が重い後遺障害を負った場合には、賠償額が高額になることも珍しくありません。そのため、レンタカー会社でも対人賠償保険は無制限としているケースが多くなっています。
対物賠償保険
対物賠償保険は、事故によって相手の車や建物、ガードレール、店舗設備などを壊してしまった場合の損害を補償する保険です。
対物事故というと、車やモノの修理代だけをイメージしやすいですが、実際にはそれだけではありません。店舗や施設に損害を与えた場合は、修理費に加えて、休業補償や営業損失まで請求されることがあります。
たとえば、店舗の入口や外壁に車をぶつけて営業できない状態にしてしまうと、想像以上に高額な賠償につながることもあります。
物損事故でも高額な賠償につながることがあるので、レンタカーでも対物保険の内容はしっかり確認しておきましょう。
人身傷害保険・搭乗者保険
対人賠償保険と対物賠償保険は、事故の相手方に対する補償ですが、人身傷害保険や搭乗者保険は、運転者自身や同乗者のけがを補償するものです。
人身傷害保険と搭乗者保険はともに、契約車両に乗っている人の損害が補償の対象となります。両者の主な違いは、保険金の支払い方法の違いです。
| 人身傷害保険 | 保険金額を上限に、治療費や精神的損害など実際の損害額が支払われる |
| 搭乗者保険 | 契約であらかじめ決められた金額が、入通院日数や後遺障害の程度に応じて支払いされる |
補償内容は会社によって異なりますが、人身傷害保険がメインの補償となり、搭乗者保険は補助的な補償として付いているケースが多くなっています。
レンタカーの自動車保険における注意点
一般的に、レンタカーにも自動車保険が付いていますが、マイカーの保険と同じ感覚で考えていると、事故のあとに思わぬ負担が発生することもあります。
とくに確認しておきたいのは、補償限度額、免責金額、ノンオペレーションチャージの3つです。また、契約内容や利用方法によっては、そもそも保険が使えないケースもありますので注意しておきましょう。
ここでは、レンタカーの自動車保険で見落としやすい注意点を解説します。
補償限度額
レンタカー会社の任意保険は、国の許可基準を満たした内容になっていますが、補償によっては限度額が設定されている点に注意が必要です。
対人賠償保険は無制限としている会社が多い一方で、対物賠償保険や人身傷害保険、車両補償などは会社によって上限額が異なります。
主なレンタカー会社の補償限度額は次のとおりです。
| 対人補償 | 対物補償 | 車両補償 | 人身傷害補償 | |
| トヨタレンタカー | 無制限 | 無制限 | 車両時価額まで | 3,000万円まで |
| ニッポンレンタカー | 無制限 | 3,000万円まで | 車両時価額まで | 3,000万円まで |
| 日産レンタカー | 無制限 | 無制限 | 車両時価額まで | 5,000万円まで |
| オリックスレンタカー | 無制限 | 無制限 | 車両時価額まで | 3,000万円まで |
| タイムズカーレンタル | 無制限 | 無制限 | 車両時価額まで | 3,000万円まで |
| ニコニコレンタカー | 無制限 | 無制限 | 車両時価額まで | 3,000万円まで |
| 業務レンタカー | 無制限 | 無制限 | 未加入 | 3,000万円まで |
たとえば、対物賠償保険は無制限の会社が多いものの、一部では上限額が決まっている場合があります。また、人身傷害保険の補償限度額も会社によって違いがある点に注意が必要です。
レンタカーを選ぶときは、料金だけではなく自動車保険の補償限度額も確認しておきましょう。
免責金額
レンタカーの保険では、事故が起きたときに自己負担となる免責金額が設定されていることがあります。具体的には、対物補償や車両補償に5万円程度の免責金額が設けられているケースが一般的です。
保険がついているなら自己負担がないと思いがちですが、実際には免責金額の支払いが発生することも少なくありません。
こうした自己負担を減らすために、多くのレンタカー会社では免責補償制度を任意オプションとして用意しています。
業務レンタカーの場合、事故免責補償制度「安心サポート」に加入することで、事故時の免責金額の支払いが免除されます。
| 1日(24時間) | 1,100円 |
| 1週間(7日間) | 3,300円 |
| 1ヶ月間(30日間) | 6,600円 |
追加料金はかかりますが、万が一の出費を抑えたい方は加入しておくと安心です。
▶「CDW=免責補償制度」ってなに?レンタカー借り入れ時に必要?不要?
ノンオペレーションチャージ(NOC)
ノンオペレーションチャージ(NOC)は、事故や故障、汚損などによってレンタカーが次の貸し出しに使えなくなったときに請求される営業補償です。保険の補償とは別に請求される費用であり、利用者が見落としやすいポイントでもあります。
たとえば、事故を起こして車を修理に出す必要が生じると、その期間は次の貸し出しができなくなるので、その損失分として請求されるのがNOCです。
業務レンタカーでのNOCの例は次のとおりです。
| 自走して予定の営業所に返却された場合 | 33,000円 |
| 自走不可能な場合 | 55,000円 |
また、NOCは事故だけではなく、車内の強い臭いやひどい汚れ、備品の破損などで請求対象になることもあります。免責補償制度に入っていても、NOCは別扱いで対象外という場合もあるので注意しておきましょう。
レンタカー会社の保険が使えないケース
レンタカーの保険は、条件を守って利用していることが前提です。契約違反や事故後の対応に不備があると、保険が適用されない場合があります。
レンタカーの保険が使えない代表的なケースは次のとおりです。
- 警察に事故の届出をしなかった場合
- 事前に登録していない人が運転していた場合
- 無免許運転や飲酒運転をした場合
- 返却期限を無断で過ぎた場合
とくに注意したいのは、軽い接触事故や自損事故でも、自己判断でそのまま返却しないことです。見た目には小さな傷でも、あとから保険が使えないと高額な負担になることがあります。
万が一事故やトラブルが起きたときは、必ず警察とレンタカー会社の両方に連絡し、指示に従うことが大切です。
▶レンタカーの傷、見逃してくれる? 許容範囲や覚えがない場合の対処法
レンタカーを安心して利用するために
一般的なレンタカーは基本的な自動車保険に加入していますが、任意加入オプションや他車運転特約も確認しておくと、より安心して利用できます。
また、事故を起こしてしまったときの対応を知っておくことで、万が一の事故の際に慌てずに済みます。
任意加入オプションを検討する
レンタカーを借りるときは、免責補償制度(CDW)やNOC補償などの任意加入オプションも確認しておきましょう。
対物補償や車両補償には免責金額が設定されていることが多く、軽い事故でも5万円程度の負担が発生する場合があります。また、事故や故障で車を貸し出せない状態にした場合、営業補償としてノンオペレーションチャージ(NOC)が請求されることもあります。
こうした負担を抑えたい方は、免責補償制度やNOC補償に加入しておくと安心です。追加料金はかかりますが、旅行先や慣れない土地で運転する場合には、費用以上の安心感につながるでしょう。
ただし、補償オプションには年齢条件や免許取得後の年数条件が設定されていることもあります。申し込みの段階で加入条件も含めて確認しておくと安心です。
他車運転特約も利用可能
レンタカーの補償内容で足りない部分は、自分が加入している自動車保険の他車運転特約でカバーできる場合があります。
他車運転特約とは、一時的に他人の車を借りて運転したときに起きた事故について、自分の自動車保険を使える特約です。レンタカー会社の保険だけでは不安な方にとっては、補償を補う手段の1つといえるでしょう。
ただし、他車運転特約を使って保険金を請求した場合は、通常の自動車保険と同じように等級が下がる可能性があります。
また、「1日自動車保険」はレンタカーでは使えない点にも注意が必要です。1日自動車保険は、家族や知人から借りた自家用車を一時的に運転する場合を想定した保険なので、レンタカーは対象外となっています。
▶他車運転特約とは?レンタカーの事故も補償される?保険・補償の内容を解説
事故を起こしてしまったときの対応を知っておく
万が一に備えて、事故を起こしてしまったときの流れをあらかじめ知っておくことも大切です。
事故を起こしてしまったときの基本的な流れは次のとおりです。
- 負傷者の救護と安全確保
- 警察への届出
- レンタカー会社への連絡
- 保険会社への連絡
まず優先したいのは、負傷者の救護と安全確保です。二次被害を防ぐために、周囲の安全を確認しながら落ち着いて対応しましょう。そのうえで、必ず警察へ連絡して事故の届出をおこないます。
次に、レンタカー会社へ連絡して、事故の状況を報告します。軽微な事故や自損事故でも、自己判断で済ませると、あとから高額な修理費や営業補償を請求される可能性もあります。
必ず警察とレンタカー会社に連絡し、必要に応じて保険会社にも連絡したうえで、案内に従って対応しましょう。
レンタカーは任意保険に加入している。ただし、補償限度額や免責金額には注意が必要
一般的なレンタカーは、自賠責保険に加えて、任意保険に加入したうえで貸し出されています。そのため、利用者がレンタカーを借りる際に、自分で自動車保険へ加入しなければならないわけではありません。
ただし、レンタカー会社ごとに補償内容は異なります。対人や対物の補償限度額、人身傷害保険の上限、免責金額、ノンオペレーションチャージの有無によって、事故時に自己負担が発生するケースもあります。
万が一の負担を抑えたい場合は、免責補償制度やNOC補償などの任意加入オプションも検討しておくと安心です。
レンタカーを安心して利用するためには、料金だけで決めるのではなく、補償内容や事故時のルールまで含めて確認しておきましょう。

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田川 英紀
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