- 他車運転特約は他人の車を運転中の事故に使える特約
- レンタカーでも他車運転特約は適用され、補償不足を補うことができる
- 対象車種や運転者の条件、補償対象外になるケースには注意が必要
レンタカーなど、自分の車以外を運転するときに事故を起こしてしまったら、補償はどうなるのか心配ですよね。
他車運転特約(他車運転危険補償特約)とは、自分が加入している自動車保険の補償を、臨時で借りた車での事故による補償に利用できる特約です。
事故によっては、レンタカー会社が加入している保険ではカバーしきれない場合もありますので、他車運転特約は安心の備えとなります。
この記事では、他車運転特約の仕組みから補償対象外になってしまうケースまで詳しく解説します。
【保険の基礎】車の保険は4種類

保険会社によって商品名は異なりますが、自動車保険には大きく分けて次の4種類があります。
ここでは、保険の基礎として、それぞれの保険で補償される範囲を解説します。
1.対物に対する補償
対物賠償保険は、車の事故で他人の「物」に損害を与えてしまったときのための補償です。
ここでいう物には、相手の車やガードレール、電柱、建物の壁やフェンス、コンビニのガラスなど、さまざまなものが含まれます。
- 駐車場でバック中に隣の車にぶつけてしまった
- ハンドル操作を誤って他人の家の塀を壊してしまった
このような場合、修理費用などの賠償を対物賠償保険でカバーできます。
2.対人に対する補償
対人賠償保険は、交通事故で他人にケガを負わせた場合、または後遺障害や死亡などの重大な損害を与えてしまった場合の賠償を補償する保険です。
- 走行中に追突して、相手の運転者にケガをさせてしまった
- 歩行者や自転車と接触し、治療費や慰謝料・休業損害を請求された
上記のようなケースでは、自己の相手側へ支払う損害賠償金の支払いに対人賠償保険を利用できます。
後遺障害や死亡などに至った事故の賠償額は数千万〜億単位になる可能性もあり、自動車保険のなかでもっとも高額になる可能性がある補償です。ですので、対人賠償は無制限で加入しておくことが一般的といえるでしょう。
3.車両に対する補償
車両保険は、加入者自身の車に対する損害を補償する保険です。
対人・対物保険が事故の相手側への賠償に対する補償であるのに対して、車両保険は自分の車を修理するための補償となります。
- ガードレールに擦って車を傷つけてしまった
- 当て逃げをされて車がへこんだ
- 台風で飛んできた物が車に当たってキズやへこみができた
このような場合に、修理費用などが車両保険で支払われます。
車両保険の支払い額は、保険会社が定める車の時価額を上限として算出されるのが一般的です。
また、エコノミー型(相手車両との衝突のみ補償)など、補償範囲を狭くして保険料をおさえるタイプの車両保険もありますので、自分の契約内容を確認しておくようにしましょう。
4.自分と同乗者に対する補償
人身傷害補償保険は、事故により自分自身や同乗者がケガをしたり、後遺障害が残ったりしてしまった場合の損害を補償する保険です。
- 自損事故でガードレールに衝突し、運転者と同乗者がケガをした
- もらい事故で車が大破して、仕事を休まざるをえなくなった
このような場合に、人身傷害補償保険から保険金が支払われます。
契約によっては、タクシーやバスなど、自家用車以外の乗り物に乗車中の事故や、歩行中の事故まで対象になることもあります。
▶レンタカーの自動車保険はどうする?種類・特約・補償内容をプロ目線で解説
他車運転特約とは?
他車運転特約(他車運転危険補償特約)とは、自分が加入している自動車保険の補償を、自分の車以外を運転しているときの事故にも広げられる特約です。
一時的に借りた車を運転中の事故により、法律上の損害賠償責任を負う場合などに、自分が加入している自動車保険と同等の補償を使える仕組みとなっています。他車運転特約では、レンタカーや代車の補償不足を補うことができるため、想定外の高額負担を避けることができます。
保険会社によっては他車運転特約が自動付帯になっているケースも多くなっていますが、保険会社・契約内容によって異なりますので、加入している保険の内容を確認しておくようにしましょう。
「他人の車」の例
他車運転特約で対象になる「他人の車」として、代表的なものは次のようなパターンです。
- 友人から借りた車
- 帰省中に父母や義父母から借りた車
- 別居している子から借りた車
- 別居の兄弟姉妹から借りた車
- レンタカー会社から借りたレンタカー
- 修理工場で借りる代車
たとえば、自分の車が修理中で代車に乗っているときに事故を起こしてしまった場合や、友人の車を借りているときの事故などが他車運転特約の対象となります。
他車運転特約がレンタカーも対象になる条件

レンタカーでの事故の際に、レンタカーの保険だけではカバーしきれない部分を、他車運転特約(他車運転危険補償特約)で補える可能性があります。
一般的にレンタカーでは、レンタカー会社が任意保険に加入しています。補償内容や上限金額は運輸支局の定める認可基準に沿って運用されていますので、マイカー向けの自動車保険と比べると必要最低限の内容にとどまるケースも少なくありません。
たとえば、レンタカーの対物補償の上限を超える賠償が必要になった場合など、レンタカーの保険で足りない部分を他車運転特約でカバーする形になります。
他車運転特約がレンタカーに適用されるためには、車種・運転者が対象となっている必要があります。
▶レンタカーの免責補償には入るべきか? 保険・免責・NOCの違いとは
車種
レンタカーが以下に挙げる自家用8車種に該当すれば、他車運転特約の対象となります。
- 自家用普通乗用車
- 自家用小型乗用車
- 自家用軽四輪乗用車
- 自家用小型貨物車
- 自家用軽四輪貨物車
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
- 特殊用途自動車(キャンピング車)
たとえば、営業用の貨物車やバス、大型トラックなど、事業用の緑ナンバー・黒ナンバーの車両は対象外です。逆に、ハイエースやキャラバンなど商用バンタイプでも、自家用登録の白ナンバーであれば自家用8車種に分類されます。
運転者の範囲
他車運転特約で補償を受けられるのは、保険加入者自身(記名被保険者)とその家族が運転をしていた場合です。
他車運転特約で補償を受けられる運転者の範囲は次のとおりです。
- 保険加入者自身(記名被保険)
- 記名被保険者の配偶者
- 同居の子とその配偶者
- 同居の親族
- 別居の未婚の子
自動車保険に運転者限定条件や年齢条件が設定されている場合は、その範囲に含まれる人が補償の対象となります。
たとえば、本人と配偶者限定、30歳以上補償という条件で契約している場合、25歳の同居の子によるレンタカー運転中の事故については補償の対象外となってしまいます。
また、記名被保険者とその家族が所有または常時使用している車は、他車運転特約の対象にはなりません。保険加入者自身のセカンドカーや、家族所有の車については他車運転特約でんも補償の対象外となりますので注意しておきましょう。
他車運転特約で支払いを受けられる保険金
他車運転特約(他車運転危険補償特約)では、自分の車で加入している自動車保険の内容に沿って保険金が支払われます。
対人事故
運転中の事故で相手にケガを負わせてしまった場合は、対人賠償保険から保険金が支払われます。
対象となる費用の例は次のとおりです。
- 治療費や入院費
- 通院にかかる交通費
- 治療中の休業損害
- 慰謝料
対人賠償保険の契約金額が無制限であれば、死亡事故等で賠償額が高額になった場合にも全額が補償されます。
対物事故
相手の車や建物、ガードレールなどを壊してしまった場合は、対物賠償保険から保険金が支払われます。
対象となる費用の例は次のとおりです。
- 相手の車の修理費
- 建物やフェンスなどの修繕費
- 破損した設備の交換費用
対人賠償保険と同様、自分の加入する保険の契約内容に応じて、無制限または上限金額の範囲で補償が受けられます。
車両事故
レンタカーなど、臨時で借りている車にキズを付けてしまった場合、車両保険に加入していれば、車両保険から保険金が支払われます。
車両保険の支払い金額については、臨時に借りた車の時価に応じて算出された保険金が支払われます。自分の車にかけている車両保険の時価総額とは金額が異なる場合がある点に注意しておきましょう。
また、自身の保険契約で車両保険の補償範囲を限定している場合、他車運転特約でもそのまま適用される点にも注意が必要です。
▶レンタカーの自損事故に保険は使える?保険の種類と補償範囲を徹底解説!
自身の死傷
自分自身や同乗者がケガをした場合は、人身傷害補償保険から保険金が支払われます。
対象となる費用の例は次の通りです。
- 治療費
- 休業損害
- 後遺障害が残った場合の補償
保険金は、自身の加入する自動車保険の契約内容に準じて同等の金額が支払われます。
他車運転特約の補償を受けた後の等級はどうなる?
他車運転特約(他車運転危険補償特約)を使った場合でも、自分の自動車保険を使用した扱いになりますので、翌年の更新時には等級が下がってしまいます。
自動車保険の等級制度は1〜20等級に区分され、初めて保険に加入する場合は6等級からスタートします。1年間保険を使わなければ、翌年は1等級アップして保険料が割引されます。
逆に、事故で保険を使用すると等級が下がり、次年度の保険料が割り増しになります。
一般的に、他車運転特約を使用した場合の等級への影響は次のとおりです。
| 対人賠償保険や対物賠償保険を使用した場合 | 3等級ダウン、事故有係数適用期間は3年加算 |
| 車両保険を使用した場合 | 事故内容により1〜3等級ダウン |
翌年以降の保険料を考えると、軽微な損害なら自費で修理する選択肢もあります。
事故の大きさや修理額、割り増しされる保険料を比較して、保険を使うべきかどうか判断するようにしましょう。
他車運転特約とレンタカーの保険はどっちが優先?
レンタカーを借りているときに事故が起きた場合、原則としてレンタカー会社が加入している保険が優先して適用されます。そのうえで、補償しきれない部分があれば、自分が加入している自動車保険の他車運転特約で不足分をカバーする流れです。
具体的には、次のようなケースで他車運転特約の使用が必要になる可能性があります。
- 補償の上限金額を超える請求が発生した場合
- 対人補償が1名限度となっている契約で、2名以上にケガをさせてしまった場合
- レンタカーの保険に定められた免責事由に該当した場合
- 車の扱い方に問題があり管理上の落ち度と判断された場合
たとえば、レンタカー契約時に記入した運転者以外が運転していたり、スピード違反や飲酒運転などレンタカー会社の利用条件に反した行為があった場合、レンタカー会社の保険は適用されません。
このような場合、レンタカー会社の保険は使用できませんので、他車運転特約を使用する必要があります。
▶「CDW=免責補償制度」ってなに?レンタカー借り入れ時に必要?不要?
他車運転特約の注意点! 補償対象外となるのは?

他車運転特約(他車運転危険補償特約)は便利な制度ですが、すべてのケースで使用できるわけではありません。たとえば、無断で借りた車を運転中に事故を起こした場合は補償の対象外になってしまいます。
ここでは、他車運転特約の補償の対象外となってしまう代表的なケースを解説します。
常時借りている車での事故
他車運転特約が適用されるのは、一時的に借りた車での事故です。
したがって、半年から1年程度使っている場合など、長期間にわたって借り続けている車の場合は補償の対象外となってしまう可能性があります。
常時借りる車を運転する場合は、対象となる車に対する保険に加入しておくようにしましょう。
駐車中・停車中の事故
他車運転特約は、運転中の事故に対して補償が適用されますので、駐車中・停車中の事故は対象外となってしまいます。
たとえば、スーパーやショッピングモールに駐車した車に乗り込む際、開けたドアを隣の車にぶつけて傷つけてしまった場合などは補償の対象外となります。
ただし、信号待ちや踏切で停車している時の事故は補償の対象となる場合もありますので、保険会社に確認してみましょう。
会社の車での事故
会社所有の車や社用車を運転中の事故は、他車運転特約の対象外となります。
たとえば、会社の社用車を業務目的で運転中に事故を起こした場合などは補償の対象外です。
会社名義の車両は会社が自動車保険に加入する必要があるため、社員個人の保険を利用することはありません。
レンタカー利用時の事故は他車運転特約が安心材料に!
他車運転特約(他車運転危険補償特約)は、自分の車以外に乗る時に、自分が加入している自動車保険を使える心強い特約です。
友人の車や修理工場の代車だけでなく、レンタカーにも適用されますので、レンタカーの保険に不安がある方にとっては安心材料となります。
ただし、駐車中の事故や会社の車では使えないなど、補償の対象外となるケースがあることや、保険を使用すると自分の保険等級が下がってしまう点には注意が必要です。
これからレンタカーを借りる方や、家族や友人の車を運転する機会がある方は、自分の保険の契約内容を確認しておくようにしましょう。

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田川 英紀
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