・レンタカーで事故を起こしたら、まず負傷者の救護、警察への連絡、レンタカー会社への連絡といった初期対応が必須
・レンタカー会社の保険が使える場合でも、免責金額やNOCなどの自己負担が発生することがある
・事故を起こしても適切に対応していれば、またレンタカーを借りることは可能
レンタカーで事故を起こしてしまったとき、どう対応すればよいか分からずに焦ってしまう方は少なくありません。とくに旅行先や出張先など、慣れない車や土地で事故が起きると、正しい判断ができなくなることもあります。
事故を起こした際は、自己判断で動かずに、負傷者の有無を確認し、安全確保をおこなったうえで、警察とレンタカー会社へ速やかに連絡することが重要です。
この記事では、レンタカーで事故を起こしたときの初期対応から保険や補償、自己負担になりやすい費用、事故後にまたレンタカーを借りられるのかまで解説します。
レンタカーで事故を起こしてしまった場合の初期対応

レンタカーで事故を起こしてしまった場合、慌てずに初期対応をおこなう必要があります。
優先するべき初期対応は、次の3つです。
- 負傷者の救護と安全確保
- 警察への連絡
- レンタカー会社への連絡
事故直後の対応を誤ると、レンタカーの保険や補償を使えなかったり、修理代や営業補償を自己負担しなければならなかったりする可能性があります。また、負傷者の救護や警察への報告を怠ると、道路交通法上の責任を問われることもあります。
事故直後は焦りやすいですが、その場で勝手に示談したり、レンタカー会社に無断で修理したりするのは避けましょう。
ここでは、レンタカーで事故を起こしてしまった場合の初期対応の流れを解説します。
▶レンタカーの傷、見逃してくれる? 許容範囲や覚えがない場合の対処法
1.負傷者の救護と安全確保
レンタカーで事故を起こしてしまった場合、最初におこなうべきなのは負傷者の救護と安全確保です。
まず車を止めて、けが人がいないか確認しましょう。けが人がいる場合は、すぐに119番へ連絡し、必要に応じて、負傷者を安全な場所へ移動させることも大切です。
続いて、車両を安全な場所へ移動できる状況であれば、道路の端や路肩へ寄せ、後続車の通行を妨げないようにします。高速道路や交通量の多い道路では、二次被害を防ぐための安全確保も必要です。
ただし、無理に車両を動かすと危険な場合や負傷者の状態が悪い場合は、安全確保を優先し、警察や救急の指示に従ってください。
合わせて、発炎筒や三角表示板、ハザードランプなどを使い、後続ドライバーに事故の発生を知らせましょう。
道路交通法では、交通事故があったときに負傷者の救護や危険防止措置、警察への報告が求められています。救護を怠ると、救護義務違反として刑事責任を問われる可能性もあります。
2.警察へ連絡
負傷者の救護と安全確保をおこなったら、速やかに警察へ連絡しましょう。
110番をするときは、分かる範囲で以下の内容を伝えます。
- 発生日時
- 事故が起きた場所
- 死傷者の有無
- けがの程度
- 壊れた車や物の状況
- ガラスや部品などの飛散状況
- すでにおこなった救護や安全確保の内容
相手がいない自損事故や、電柱、ガードレールなどに擦ってしまった物損事故でも、警察への連絡は必要です。
警察への届け出がないと、交通事故証明書を取得できず、レンタカー会社の保険や補償が使えない可能性があります。
また、その場で相手が大丈夫と言っていても、後日病院を受診し、人身事故として扱われるケースもあります。 相手がいる事故では、自己判断でその場を離れず、必ず警察へ連絡してください。
3.レンタカー会社へ連絡
警察に連絡したら、必ずレンタカー会社へ連絡しましょう。
事故の程度にかかわらず、レンタカー会社への連絡は必要です。自損事故での小さな傷や擦り傷でも、自分の判断だけで済ませないようにしましょう。
レンタカーは利用者の所有物ではなく、レンタカー会社の所有車両です。事故後の修理先や返却方法、自走してよいかどうかなどは、レンタカー会社の指示に従う必要があります。
無断で修理したり、事故を報告せずに返却したりすると、補償対象外になり、自己負担や追加請求につながる可能性があります。
一般的なレンタカーの貸渡約款でも、事故が発生した場合は、事故の大小にかかわらず法令上の措置を取り、レンタカー会社へ報告して指示に従うこと、無断で修理や示談をしないことと定められています。
軽い事故だから連絡しなくてよいだろうと判断せず、必ずレンタカー会社へ連絡し、指示を仰ぎましょう。
<h2>レンタカーの事故で保険はおりる?
レンタカーで事故を起こした場合でも、条件を満たしていれば、レンタカー会社が加入している保険を利用できるケースがあります。
レンタカー事業者は、事故に備えて一定条件以上の任意保険への加入が求められています。
ここでは、レンタカーにかけられている保険の種類を解説していきましょう。
※内部リンク
<h3>自賠責保険
自賠責保険は、すべての車に加入が義務づけられている強制保険で、レンタカーも例外ではありません。
自賠責保険は、交通事故の被害者救済を目的とした保険で、主に被害者のけがや死亡、後遺障害に対する補償をおこないます。
自賠責保険の補償限度額は、以下のとおりです。
| 死亡による損害 | 最高3,000万円 |
| 後遺障害による損害 | 最高4,000万円 |
| 傷害による損害 | 最高120万円 |
自賠責保険は傷害、死亡、後遺障害など、損害に応じて支払限度額が定められています。
ただし、自賠責保険はあくまで人身事故の被害者救済を目的とした最低限の補償なので、物損事故や車両の修理代、運転者のけがなどは対象外です。
出典:国土交通省 自賠責保険ポータルサイト 支払限度額と保障内容
<h3>任意保険
自賠責保険で足りない部分を補うのが任意保険です。
レンタカー会社の任意保険では、対人賠償、対物賠償、車両補償、搭乗者補償などが用意されている場合があります。
| 対人賠償保険 | 交通事故で相手にけがを負わせたり、死亡させたりした場合の損害賠償を補償 |
| 対物賠償保険 | 他人の車や建物、ガードレールなどに損害を与えた場合の損害賠償を補償 |
| 車両保険 | 事故によってレンタカー自体が損傷した場合の修理費用を補償 |
| 搭乗者保険 | 運転者本人や同乗者がけがをした場合の損害を補償 |
国土交通省の定めるレンタカー事業者に求められる最低基準は、対人保険が1人あたり8,000万円以上、対物保険が1件あたり200万円以上、搭乗者保険が搭乗者1人あたり500万円以上とされています。
ただし、実際の補償内容はレンタカー会社ごとに異なります。対人賠償や対物賠償を無制限としている会社もありますが、車両補償や搭乗者補償には限度額がある場合もあります。
また、保険が使える事故でも、免責金額やNOCは利用者の負担になることがあります。レンタカーを借りる前には、基本料金だけでなく、補償内容と自己負担額も確認しておくと安心です。
レンタカーでの事故に備えて検討しておきたい保険・オプション

レンタカー会社が加入する保険を利用できる場合でも、利用者の自己負担が発生することがあります。
代表的な自己負担の例が、免責金額とノンオペレーションチャージ(NOC)です。
事故時の負担を抑えたいなら、レンタカーを借りる前に、免責補償制度やNOC補償などのオプションを確認しておくようにしましょう。
▶レンタカーの免責補償には入るべきか? 保険・免責・NOCの違いとは
免責補償制度
レンタカー会社の保険を利用する際には、自己負担として免責金額が設定されていることがあります。
免責金額は対物補償や車両補償に設定されていることが多く、5万円前後の自己負担が発生するケースもあります。具体的な例では、トヨタレンタカーの対物補償や車両補償の免責金額は各5万円です。
免責補償制度に加入しておけば、保険使用時の免責金額の支払いが免除されるので、自己負担が軽減されます。
ただし、免責補償制度に加入していても、飲酒運転や無免許運転、警察への届出がない事故、契約違反にあたる事故などは補償対象外になる可能性があるので注意が必要です。
NOC補償
レンタカー事故で見落としやすいのが、ノンオペレーションチャージ(NOC)です。
NOCとは、事故や故障、汚損などによってレンタカーの修理や清掃が必要になり、その車両を営業に使えなくなった場合に、休業補償として利用者が負担する費用を指します。
NOCは修理費とは別に請求されるのが一般的です。
金額はレンタカー会社によって異なりますが、2万円〜5万円程度に設定されているケースが多くなっています。具体的な例では、トヨタレンタカーでは、自走して予定店舗へ返却できた場合は20,000円、自走できず予定店舗へ返却できなかった場合は50,000円と案内されています。
NOC補償に加入しておけば、事故時のNOCの負担を免除・軽減できる場合があります。
他車運転特約
レンタカー会社の保険で補償される場合でも、補償限度額を超えた損害や、補償対象外となる費用は利用者の自己負担になる可能性があります。
そのような場合に、自分が加入している自動車保険の他車運転特約を利用できるケースがあります。他車運転特約とは、一時的に他人の車を借りて運転したときに起きた事故について、自分の自動車保険を使える特約です。
レンタカー会社の保険だけでは不安な方にとっては、補償を補う手段の1つといえるでしょう。
ただし、すべての自動車保険に他車運転特約が付いているわけではありません。補償される対象者、対象車両、補償範囲は契約内容によって異なりますので、自分の契約内容を確認しておくと安心です。
▶他車運転特約とは?レンタカーの事故も補償される?保険・補償の内容を解説
レンタカーで事故を起こしたらブラックリスト入り⁈また借りられる?
レンタカーで事故を起こしてしまうと、ブラックリストに入ってしまい、同じ店舗ではもう借りられないのではないかと不安になる方もいるでしょう。
結論からいうと、事故を起こしただけで、直ちにブラックリスト入りするとは限りません。
初期対応を適切におこない、修理費やNOCの支払いなどに滞りがなければ、またレンタカーを借りることは可能です。
ただし、次のような場合には、次回以降の貸し出しを断られる可能性があります。
- 事故を隠した
- 警察へ連絡しなかった
- レンタカー会社へ連絡しなかった
- 無断で修理した
- 相手と勝手に示談した
- 契約者以外が運転していた
- 無断延長中に事故を起こした
- 飲酒運転や無免許運転など重大な違反があった
事故を起こしたあとに再度レンタカーを借りられるかどうかは、事故そのものよりも、その後の対応が重要です。事故を起こした場合は、隠さず、逃げず、レンタカー会社の指示に従って対応しましょう。
また、事故によって免許停止や免許取り消しになった場合は、当然ながらレンタカーを借りることはできません。
レンタカーで事故に遭ってしまったときはどうなる?
レンタカーの事故は、自分が加害者になるケースだけではありません。
自分がレンタカーを運転中に相手の車から追突されるケースや、相手がレンタカーを運転していて自分が被害者になるケースもあります。
このような場合でも、基本的な対応は変わりません。まずは負傷者の救護、安全確保、警察への連絡、レンタカー会社への連絡をおこないましょう。
注意したいのは、自分に過失がないと思われる事故でも、レンタカー会社に支払う費用が発生する場合があることです。たとえば、自分が借りているレンタカー車両に損傷がある場合、免責金額やNOCが発生することがあります。
もちろん、相手に過失がある場合は、事故状況に応じて相手側へ損害賠償を請求できる可能性があります。 ただし、レンタカー会社への支払いと、相手への請求は別の手続きなので、自己判断で進めないようにしましょう。
警察とレンタカー会社への連絡は必須
もらい事故であっても、警察とレンタカー会社への連絡は必要です。
自分に過失がない場合でも、警察への届け出をしなければ、事故証明書を取得できない可能性があります。事故証明書がないと、相手への請求や保険手続きが進みにくくなることもあります。
また、レンタカー会社への連絡も欠かせません。相手方の保険を使うからと自己判断せずに、レンタカー会社の判断を仰ぐようにしましょう。
その場で相手と金額の約束をしたり、示談をしたりするのはNGです。
後から過失割合や損害額が変わることもあるので、警察、レンタカー会社、保険会社の指示に従って進める必要があります。
加害者に賠償請求はできる?
相手に過失がある事故であれば、加害者や加害者側の保険会社に対して、損害賠償を請求できる可能性があります。
請求できる主な費用には、治療費や入院費、通院交通費などの積極損害、仕事を休んだことによる休業損害や、将来得られるはずだった収入に関わる逸失利益などの消極損害があります。
また、自分がレンタカーを運転中に追突された場合などは、事故状況によって、レンタカー会社に支払った免責金額やNOCを相手へ請求できる可能性があります。
ただし、実際にどこまで請求できるかは、事故の状況や過失割合、損害額、示談交渉の内容によって変わります。
被害者が利用できる保険
レンタカー事故で被害に遭った場合は、相手側の保険だけでなく、自分が加入している保険も確認しておきましょう。
自分の人身傷害保険や搭乗者傷害保険のほか、自分の自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、相手保険会社との交渉や損害賠償請求について、弁護士へ相談した場合の費用が補償される場合があります。
補償の対象や範囲は契約内容によって異なるので、事故に遭った場合は、レンタカー会社だけでなく、自分が加入している保険会社にも早めに確認しておくと安心です。
まずは慌てずに初期対応をすることが重要
レンタカーで事故を起こしてしまった場合、まずは慌てずに負傷者の救護と安全確保、警察への連絡、レンタカー会社への連絡といった初期対応が重要です。
軽い傷や自損事故であっても、自己判断で処理するのは避けましょう。
警察への届出やレンタカー会社への連絡を怠ると、保険や補償が使えず、修理代やNOCを自己負担しなければならない可能性があります。
ウィークリーやマンスリーなど長期でレンタカーを利用する場合は、短期利用よりも事故や傷のリスクが高くなります。レンタカー会社を選ぶ際には、万が一の事故に備えて、保険や補償内容も含めて料金を比較しましょう。

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田川 英紀
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